WWDC25:開幕、基調講演の感想

今年もWWDCの季節がやってきた。例年と変わらず、2時前に起きて基調講演をリアルタイム(録画だが)で視聴し、5時からの Platforms State of the Union もチェックした。

筆者のWWDC初日の楽しみ方は、前夜から始まっている。コンビニでお菓子など買っておき、早めに就寝。といってもすんなり寝付けた試しはなく、だいたい眠れたかどうか分からないまま、午前 1:45 のアラームで起床。前夜に揃えた食べ物飲み物を準備して、ストリーミングを画面を前に待機、、例年、基調講演は iPad やデスクのモニターに映すのだが、今年は Vision Pro 上で観てみた。WWDC24 期間後に販売開始されたので、初の試みである。

WWDC keynote on Vision Pro

基調講演中は自分用に気になった点をメモしている。外部公開用ではないので、本当に個人的な感想や妄想を書き記している。今年は Vision Pro を被りながらなので、視界の下隅で MacBook の画面を見ながら映像とメモとを行き来してた。基調講演後は、気になったスライドやシーンを写真やスクショにおさめて、それらを日記にまとめるまでが、初日のルーチンになっている。

今年も例に違わず、仕事以外の時間はそんなことをして過ごした初日だった。特に今年は、かねてより噂されていたデザイン刷新をはじめ内容が盛りだくさんだった。


とはいえその大半が、Marc Gurman 氏によって事前にリークされた情報通りであった。日が近づくにつれてリークの頻度とディティールが増していったため、当日はただの答え合わせだけになってツマらないかも、と懸念していたが、蓋を開けるとそれはまったくの杞憂だった。今回の基調講演の内容には、そんな暴かれた筋書きを凌駕するサプライズが詰まっていた。

まず、新デザイン言語の Liquid Glass について。グラス調UIへの転換は今日を迎えるまで数々のリークやモックがインターネット上で量産され続けてきたが、蓋を開けてみればそのすべてが、実際のほんの表面しかなぞらえていなかったことが明らかになった。誰の想像をも圧倒する美しさ、完成度を Liquid Glass は携えていた。

「グラス」モーフィズムとは、iOSのデザイン刷新が噂にのぼるたび、それがいつからか思い出せないほどに長い間ささやかれ続けてきた言葉だが、liquid の名が示すように、このデザイン言語が示したのは只の見た目やあしらいではなかった。実際に beta 版を触ってみて感じたのは、どんなユーザー操作も逃さずにフィードバックしてくれるUIの即応性、それは指によるタッチやドラッグ操作に限らず、アイコンなどのエッジに輝くハイライトがデバイス本体の傾きに追従することも含む。従来スクリーンがアプリ世界だけを映し出していたのに対して、Liquid Glass の表現する世界観は、アプリという物体を如何に実世界に溶け込ませるか、であると感じる。それはまるで visionOS が仮想コンテンツをリアル空間に持ち出したように。そしてこうした視覚的な変化に加えて Liquid Glass の実現した高い精度の光学的表現が、ソフトウェアへ実存感を与えるにとどまらず、むしろ現実を超えてシュールささえもたらすことで、親しみや楽しみを醸成していると感じた。

そういえば、最近気に入ったアプリ、(Not Boring) Camera も、物理を模したUIの影が、デバイス傾きに追従している。

https://twitter.com/p0dee/status/1930867577104044193

いっぽうで今、Xをはじめとして Liquid Glass は手離しで評価されているわけではない。特にグラスマテリアルはその背景に対しコントラスト比が低く視認性が悪い。betaを触っていて、筆者はあまり気にならないが、アクセシビリティの観点では確かに片手落ちに感じた。が、iOS 7の時もそうであったように、Apple は初版ではコンセプチュアルな方向に振り切りつつもマイナーチェンジを重ねながら実用性に擦り合わせていく傾向があると思っているので(Apple Watch や Vision Pro もそう)、9月のリリースには致命的な点は解消されていると思う。

視認性や統一性の課題やバグを多く含み、混迷を極めた iOS 7 の初期 beta

その他、iPadOS の macOS 回帰が印象的で、macOS ではおなじみの Exposé 搭載が今このタイミングで発表されたことは、同機能がリリースされた Mac OS X 1.03 からたどった進化の系譜を20年越しに引き継いだという歴史の重みを感じて心が熱くなったし、ここ近年 iPadOS や macOS にばらばらと搭載され無秩序に感じていた、ウインドウマネジメントシステムの数々が、ようやく秩序だって集結したことにも、これまでの「仕込み」の点同士が一気に像を描くようで強く納得感を覚えた。さすがアップルだな、、と。

iOS 18 における Control Center のリデザイン、Apple Intelligence のチグハグ感否めない独特なデザインや使い勝手、唐突なホーム画面のカスタマイズ機能、少し遡るとこれもまた独特な使い勝手の Widget 選択画面に至るまで、、あちこちに散りばめられていたパズルのピースが、すべてこの日のために用意されていたと思うのは、考え過ぎだろうか。

まだ他にもある。macOS の Spotlight 機能が高機能化したのは、⌘+space が手癖となっている Spotlight ヘビーユーザーの筆者としては嬉しいポイント。作業コンテクストに応じてショートカットコマンドを組み込む Quick keys は、Spotlight という羊の皮を被った Shortcuts ないし Apple Intelligence ではなかろうかと思っている笑 完全に、Alfred に代表される 3rd-party ロンチャーアプリキラーだった。

あと、Xcode へのコーディングエージェントの搭載は、筆者が感知した範囲ではリークになかったので、個人的には実質の One more thing… であった。


手元メモにはもっと雑多にいろんな感想を記しているが、キリがないのでここまでとする。最後に基調講演の締めに流れた「Real App Store review」について。レビューを歌に乗せて紹介するというユニークな演出だが、可笑しさとともに Apple の一貫したある姿勢を垣間見て素晴らしいなと思った。 AI が発展し続けるこの先も、作り手である人間が価値創出の中心である、、そんなクリエイターに対する賛美だと感じた。

と、、Apple 信者感全開な投稿になったが、本当は1日1セッション紹介しようと思いつつもまだ何も観れておらず、ありものの情報で書いただけである。明日からはしばらくセッションの内容メモを綴っていきたいと考えている。