去年に引き続き、MOSA主催のWWDC Recapイベントに参加してきた。
WWDC26 の内容を受けて、Apple Intelligence、Siri AI が話題の中心となっていた。冒頭大谷和利さんのキーノートでは、技術的内容の前に John Ternus 氏、Johny Srouji 氏のキャリアや人事に関する説明もあり、これらを関連づけた大局観を示されていて非常にワクワクした。
去年大阪で行われたMOSAのイベントで、「キューティマスコットを作り直してみる」と題した Vision Pro への移植について、元コーシングラフィックシステムズの小池さんが発表されているのがとても気になっていて、しかし都合合わずでどうしても行くことが叶わなかったのだが、今回 Image Playground や Foundation Models を用いてさらにアップグレードしたキューティマスコットが披露されたのはとても見応えがあった。
中野洋一さんの Metal を使った金魚すくい Mac アプリケーションの動作改善だが、この金魚すくいのアプリケーションにはとても見覚えがあり、懐かしい思い出が蘇った。
いけだじゅんじさんの、Foundation Models を用いた議事録アプリは、感動・聴き逃しボタンを聴講中ユーザーに能動的にタップさせることで、サマリの緩急をユーザー関心に最適化するというアプローチが目から鱗だった。
橋本陽夫さんのデザインリテラシーに関する講演が個人的にはとても刺さり、「デザイン」という概念を、今年9年ぶりに復活したHIGになぞらえて解釈を分解したり、ご自身の最新の著書を引用しながらデザインの網羅的な評価軸について紹介されていて、筆者の今取り組んでいるデザインxエンジニアリングの仕事にぜひ応用したいと思った。
以下に、手元にメモした部分だけ備忘録がわりに転載しておいた。
イベントページ:https://mosa.connpass.com/event/390309/
【キーノート】ジョン・ターナス新CEOとApple Intelligence本格始動時代のApple
大谷 和利 さん
- 二人のタッグ(Dynamic Duo)
- CEOターナス:エンジニア出身のCEOは初めて
- CHOスロウジ:ハードウェア全般を統括、設計の統合性が高まる
- AppleのAI戦略
- モデル作りの競争ではなく配置と制御で勝つ設計(Gemini + オンデバイス/PCC/Google Cloudの3層)
- Chat系UIでなく、OSレベルでApp Intentsを入り口とする方針(SiriKitを正式に非推奨化し、App Intents + App Schemas に一本化+Spotlight でセマンティックインデックス)
- iCloud+をAI tierに転換しサービス継続課金で収益化するモデル(Private Cloud Computeを無償提供し開発者は無償枠で囲い込み)
- Apple Intelligence の5層構造
- 体験(Siri AI、写真、文脈提案…)
- モデル(AFM、カスタムGemini)
- 実行基盤(オンデバイス/PCC/Google Cloud、将来的に自社サーバーBaltra+自社モデルに切り替え?)
- 開発者(App Intents/App Schemas、各種フレームワーク/API、MLX)
- 制度(サーバーモデル上限を iCloud+ で拡大、App Store の開発者間サブスクバンドル、ペアレンタルコントロール)
- サブスクバンドル → AIを介した発見体験の向上
- Siri AI
- 15年ぶりの刷新
- パーソナルコンテクスト理解/画面認識/アプリ横断アクション/ワールドナレッジ+Web
- AFM 3 Core Advanced の20Bパラメタをどうやってオンデバイスで動かすのか?
- 通常データセンターで扱うパラメタ規模
- モデル全体をフラッシュに常駐させて、必要な部分だけをメモリへ持ち上げる構成
- 写真アプリの修正で待たせている体験はそうなっているのでは
- Instruction-Following Pruning(刈り込み)
- プロンプト単位で1度だけルーティング判断。エキスパート部分(1-4B規模)のみをメモリにロードする
- DRAM制約を大きく超えてスケールできるという説明
- Core AI、Xcode 27、MLXによる次世代技術への強制移行
- カスタムオンデバイスモデル
- Xcode のエージェント機能拡張や Device Hub
- Liquid Glass、Apple Silicon、iPhone Mirroring 上でのリサイズ対応(フォルダブルへの布石?)
- OSがエージェント・ランタイムになる
- チャットボットは入り口の一つに過ぎず、アプリは能力を登録する側に回る
- → 画面の作り込みから、OSに正しく宣言がされているか、が競争軸になる(c.f. WebにおけるSEO → AI optimization への移行)
- 検索基盤の作り直しは、エージェントの参照索引を整備するもので、UX改善ではない
- iPhone Ultra、AirPods Ultra、Apple Glass…
- 専用シリコンにより電力効率で他社引き離し
- AIは身につけるハードウェアへ
エンジニアのデザインリテラシー
橋本 陽夫 さん
参考書籍:『そのデザイン説明できますか?』(橋本 陽夫 (著) )
- エンジニアのデザインリテラシーについて
- デザインディレクションブック for business person
- そのデザイン説明できますか?
- Apple 8つのデザイン原則
- Purpose / Agency / Responsibility …
- 特に大事なのは、目的と喜び、クラフト
- 意味のあるものを作ることが一番大事、人間味を持たせること、これらを実行に移すために何をするべきか、がデザインリテラシー
- デザインとは何か?
- 人間の欲求:知りたい、行きたい、仲間になりたい、自分の知る範囲で辻褄を合わせたい
- 辻褄を合わせたいのはユーザー(中のことは知らないが自分にとって辻褄があっているものは買う)、行きたいのはビジネスアーキテクト、仲間になりたいのはデザイナー(仲をとり持つ)
- エンジニア=知りたい
- なぜデザインリテラシーが必要か?
- ユーザーはフロントエンドしか見ることができず、機能の実装だけでは伝わらない
- エンジニアがなぜデザインに突っ込まない?
- エンジニアは多様性を認める能力が高い(あらゆる意見を尊重する)
- 多様性を認めながらもアラも見つけられる(効率、コスパ、、)
- 「面白いデザインだが無駄が多い」→ 整理がつかなくなりデザインが分からない(ことにする)
- デザインが分からない
- 良いデザイン(良ければ良いほど限度がない、望大特性)
- 正しいデザイン(望目特性)
- エンジニアは多様性を認める能力が高い(あらゆる意見を尊重する)
- 情報整理の方法 LATCHの法則
- Location:場所
- Alphabet:配列順
- Time:時間
- Category:カテゴリ
- Hierarchy:ヒエラルキー
- デザインが分からない、をLATCHの法則で整理してみた
- T/C/H:これらのデザインのセオリーを知る
- T:デザインの歴史を知る
- Form follows function(電卓、ストップウォッチ、iPod)
- Functions without form(iPhoneでアイコンだけが見える状態)
- 第1〜第3世代、メーカーの作りやすさ、欲望の刺激、高機能のシステム+IoT化
- 機能は顔(face)を必要としていて、デザインがそれを与える
- C:デザインのコツを知る
- デザイン要素 x デザイン原則 → テンション(バウハウス)
- トイザラス(テンション高い)フォルクスワーゲンのロゴ(テンション低い、線対称でstatic)
- 「ゲシュタルト」総合認知、人の認知のクセ
- 近接の法則、類同の法則、、
- H:デザインの構成を理解する
- デザインのディレクションできる領域
- ユーザビリティ、クオリティ、アイデンティティ
- それ以上はアート領域
- デザインのディレクションできる領域
- デザインセオリーを知る次に:
- デザインをコトバにする
- 事実、根拠 → 心象(〜だからこう感じた、なぜなら、、論証形式)
- デザインの評価項目(ユーザビリティ評価、アイデンティティ評価、デザインクオリティ評価、それぞれの2次評価)
- デザインをコトバにする